今回は低額譲渡 <込み入ってますが実はすんごい面白いんです。>
話を簡単にするために土地の時価100円、売買価格40円で話します。
低額譲渡とは売り手と買い手で時価より低く売買されることを指します(交換等の話は除外します)。そのうち通常取引の1/2以下ということで、著しく低い価額での取引を前提とします。
売り手と買い手はそれぞれ個人法人の2パターンあるので全体として4つのケースに分けて話します。
ケース1 個人→個人
売り手は売価40円でその年の譲渡所得における譲渡収入金額となります。その結果、時価売買より赤字になるケースが多くなりますよね。今回の場合はたとえ赤字であっても赤字分は0とされます。
買い手は40円での購入の際、通常取引より安く済んだ60円について売り手より贈与してもらったとして贈与税の申告が必要になります。
ケース2 法人→個人
売り手は100円で売却したと同時に60円を買い手に寄付したとして法人税の計算をします。寄付した相手によってそれが役員報酬であったり寄付金であったりする訳です。
買い手は60円について給与所得又は一時所得として所得税が別にかかります。
ケース3 個人→法人
売り手はみなし譲渡課税といって時価100円での譲渡したとして所得税がかかります。
買い手は100円で購入し、同時に60円の受贈益を計上して法人税の計算をします。
ケース4 法人→法人
売り手は時価で譲渡(ケース2の売り手参照)
買い手は時価で購入(ケース3の買い手参照)
以上、ざっと説明しましたが分かりにくいですよね。税法の世界は実際の取引価格と時価との差が生じる場合の取り扱いについて詳細の取り決めがされています。このような事例があるときは、以上をざっくりご覧になってそのうえで有識者にご相談ください。
ということで、なぜそんな複雑なことになっているかというと・・・
上記のような細かい取り決めは低額譲渡によって納税負担を売り手から買い手に転嫁することができるんです。
A → B → C → D → E → ・・・・
益 60円 → 60 → 60 → 60 → 60 → ・・・・
時期 平成x1年 → x2 → x3 → x4 → x5 → ・・・・
ここでは一年ごとに転売していったという仮説です。
低額譲渡に伴い本来のあるはずの利益60円がどんどん違うところへいってしまいます。とどうでしょう、その60円に対する税金がいつになっても課税されないことになります。永遠に転売を繰り返したらこの60円にかかる税金も永遠にかかりませんよね。
今回の話はこういう悪いことをしようとしてもだめですよってことなんです。