被災者支援税制の骨格

政府は、4月19日、東日本大震災の被災者や被災企業の支援税制「第1弾」の関連法案を閣議決定し、27日参議院本会議で可決、成立しました。以下、主な税目についてその内容を確認してみます。

国税関係
1.所得税
(1)雑損控除の適用については、前年分から適用、繰越期間は現行の3年から5年に延長する。
(2)災害減免法による所得税の減免措置は、前年分での適用を可能にする。
(3)被災事業用資産の損失の特例では、前年分の必要経費への算入を可能にし、青色申告者にあっては、前年分において純損失が生じた場合には、平成21年分からの繰戻還付を可能とする。また、一定割合以上の損失については、繰越期間を3年から5年に延長する。
(4)住宅ローン減税の適用特例では、住宅が滅失等しても残存期間の継続適用を可能とする。
(5)大震災関連寄付の寄付金控除の拡充として、寄付金控除の控除可能限度枠を総所得の80%(現行40%)に拡充、また、認定NPO法人等が募集する寄付金については、税額控除制度を導入する(税額控除率40%、所得税額の25%を限度)、としています。
2.法人税
(1)震災損失の繰戻しによる法人税額の還付は、2年間まで遡って還付を可能とする。また、仮決算の中間申告により同様の繰戻還付を可能にする。
(2)仮決算の中間申告により、法人税額から控除しきれない利子・配当に係る源泉所得税の還付を可能にする。
(3)買換特例に係る買換資産の取得期間を一定の要件の下、さらに2年間延長する。また、
(4)被災代替資産等については、特別償却を実施する、としています。
3.資産税
(1)指定地域内の土地等及び一定の非上場株式等の価額を大震災後の基準とした評価額とすることを可能とすると共に、その申告期限も延長する。
(2)住宅取得等資金の贈与税の特例措置に係る居住要件の免除及び居住期限を1年延長する。また
(3)平成33年3月31日までに取得する不動産等(船舶も含む)の所有権の保存登記等の登録免許税は免除する、としています。

地方税関係
 個人住民税や法人事業税及び法人住民税は、国税の取り扱に準じていますが、被災地等における(1)固定資産税等、(2)不動産取得税、(3)自動車取得及び自動車税は免除又は非課税とする、としています。