リース資産の消費税取扱⑥

Q 平成20年4月1日以降に締結した所有権移転外ファイナンスリース取引について、

  契約期間終了前に次に掲げる事由に該当し、リース契約を解約した場合には、賃

  借人が賃貸人に支払うこととなる残存リース料は、賃借人においてどのように取り

  扱われるのでしょうか?

1 賃借人の倒産、リース料の支払遅延等の契約違反があった時

2 リース物件が滅失・毀損し、修復不能になった時

3 リース物件の陳腐化のための借り換えなどにより、賃貸人と賃借人との合

 意に基づき解約するとき

 

A 

1 賃借人の倒産、リース料の支払遅延等の契約違反があった時

   中途解約が禁止されている所有権移転外ファイナンスリース契約であっても、賃

  借人の倒産、リース料の支払遅延等の契約違反があった時は、賃貸人はリース

  契約を解除することがあります。この場合において、賃借人が賃貸人に支払う残

  存リース料は、単なるリース債務の返還に過ぎないわけであるから、消費税法上、

  課税の対象外として取り扱うことになります。

   賃借人は、リース物件の総額を課税仕入高として認識しているわけですから、

  残存リース料を支払ったとしても、当然に残存リース料の支払いは課税仕入れと

  はなりません。

   また、賃借人が賃貸人にリース物件を返還し、残存リース料の一部または全部

  が減額された場合には、賃借人は、リース債務の支払いに代えてリース物件を賃

  貸人に譲渡したわけですから代物弁済による資産の譲渡として、賃借人は、その

  減額された金額を課税売上高に計上する必要があります。

 

2 リース物件が滅失・毀損し、修復不能になった時

   リース物件が滅失・毀損し、修復不能となった時は、賃借人は賃貸人に残存リー

  ス料を支払い、リース契約が終了します。この場合における賃借人方賃貸人への残

  存リース料の支払いは、1と同様に、リース債務の返済に過ぎないため、課税の対

  象外となります。

   また、賃貸人にリース物件の滅失等を起因として保険金が支払われることにより

  残存リース料の一部または全部が減額された場合には、事実上、リース料の値引

  きがあったことになりますので、この残存リース料の減額は仕入れに係る対価の返

  還等として処理することになります。

 

3 リース物件の陳腐化のための借り換えなどにより、賃貸人と賃借人との合

  意に基づき解約するとき

   賃貸人と賃借人との合意に基づきリース契約を解約するときは、賃借人は賃貸人

  に残存リース料を支払います。

   この場合における賃借人から賃貸人への残存リース料の支払いは1と同様に、リ

  ース債務の返済に過ぎないため、課税の対象外となります。

   また賃貸人と賃借人の合意に基づき、リース物件の陳腐化のため、リース物件を

  廃棄するとともに、残存リース料の一部または全部が減額された場合には、2と同

  様に、この残存リース料の減額は仕入れに係る対価の返還等として処理すること

  となります。