会計検査院の税制改正要望
最近は、会計検査院が税制改正を促す意見を関係官庁に表示することが目立っています。昨年は、自販機設置等によるマンション建築消費税還付手法への意見表示をし、即座に消費税法の改正につなげています。
会計検査院の仕事は、税金の無駄遣いに目を光らせるところと思われていますが、法律上の権限として、法令、制度、行政に関し改善要求することができることにもなっています。
以前から税制改正意見を出していたか
会計検査院は、従来から税制についても重要な指摘をしていますが、主として行政執行上の不適切さの監査や税の使途の監視であり、直接の税制改正を企図した意見はあまり多くはありませんでした。
昭和51年度の社会保険診療報酬に係る医師優遇税制への意見と昨年のマンション還付消費税とが特に目立つものです。
今年の税制への意見は二つ
①予定納税の還付加算金への過剰優遇
②高所得中小企業への軽減税率の適用
今年の会計検査院からの税制改正がらみの意見は主にこの二つです。②の高所得中小企業への軽減税率適用については、制度のワリキリが生む過剰サービスなので、より適切な制度設計が可能なら、そうすればよいだけのことですが、①は還付加算金という利息についてで、還付金の中の予定納税のみの優遇については、本来はそれが優遇になってしまう他の条件が問題なのです。
会計検査院の単視眼
会計検査院は意見の提出の目的を「公平」とともに支払いの「節減」に置いていて、支払節減になるように公平にせよといっています。公平の前に、法的正義・社会的合理性の判断があるべきです。
更正の請求で、過剰納付税金の還付があったら、納付時点からの利息をつけるのが本筋です。請求してから3ケ月も、還付が決まってから1ヶ月も利息がつかない、という方が不合理です。予定納税の還付がその納期限からの利息付き、ということの方が法的常識です。
また、このゼロ金利時代に14.6%(優遇部分7.3%や4.5%)などという延滞税率の非情な高率が放置されていることや、これらペナルテイー税率とは異なる経費性のある利子税も7.3%(4.5%)と同じ率であることも問題なのです。これらが、世間常識と離れすぎているから、逆に還付加算金も非常識な高額となっているのです。