租税条約は現在、59の国と地域との間で48条約が締結されています。旧ソ連、旧チェコスロバキアとの条約が継承されている関係で、条約数よりも適用国・地域数の方が多くなっています。
スイスとの租税条約
平成22年5月署名されたスイスとの間の改正租税条約では税に関する情報交換を可能とする内容となっています。
スイスが一貫して銀行機密情報を提供しない方針をとっていたため、日本が締結している租税条約の中で唯一、スイスとの租税条約のみ、税に関する情報交換規定を有しておりませんでした。G20の首脳宣言の中で「銀行機密の時代は終わった。」とされるなど、最近、国際的に税に関する情報交換の重要性が唱えられ、スイスもついに銀行機密情報についての情報交換に応じることを表明せざるを得なくなり、これを受けて、改正されることになったわけです。
バミューダとの租税条約
また、平成22年8月に英領バミューダとの間の租税条約が発効しました。バミューダは外国資本受入れ、外貨獲得の為に、意図的に税金を優遇(無税または極めて低い税率)して、企業や富裕層の資産を誘致する、いわゆるタックスヘイブンの代表的な地域です。租税条約では、通常の場合、税率軽減や免税等の特典を規定するのですが、バミューダには所得に対する租税がありませんので、バミューダとの租税条約の内容は、現在日本が締結している他の租税条約と異なり、内容のほとんどが税に関する情報交換規定となっています。
ケイマンへの情報提供要請
ケイマンは国内法を整備することで、租税条約等の締結に依らない外国税務当局に対する情報提供をすることになり、その情報提供対象国に日本が選定されました。
バミューダ型の租税情報交換規定のみの租税条約は、欧米ではすでに盛んに締結が急がれ、新聞報道によれば、平成21年から平成22年6月までの累計で約300 件にものぼるとされています。
ケイマン型、バミューダ型、スイス型を含め、税に関する透明性を高め、他国との情報交換を積極的に行い、不正資金の排除を行おうとすることは世界的な潮流となりつつあります。