一人5000円以下の交際費

指名、人数不明は不可 社内懇親会やお中元お歳暮もだめ

 租税特別措置法第61条の4は、交際費等の損金不算入の対象とされる交際費の

範囲について「交際費・接待費・機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入

れ先その他事業に関係ある者等に対する接待・供応・慰安・贈答その他これらに類

する行為のために支出するものをいう」と規定した上で、従業員の慰安のための旅

行費用や政令で規定する一定金額(一人5000円)以下の飲食その他これに類する

行為のために支出する費用については、これを交際費等の範囲から除外する旨を規

定している。

 

 また、前期の5000円以下の飲食費について交際費の範囲から除外するという規

定の適用を受けるためには、次の事項を記載した書類の保存が必要とされている

(措置法施行規則21条の18の4)。

 

①飲食等のあった年月日

②飲食等に参加した得意先の氏名または名称等

③参加した者の数

④飲食等の金額ならびに飲食店の名称及び所在地

⑤その他参考となるべき事項

 

税務調査における指摘のポイント

 

①参加者の氏名が不明のもの

 前記の措置法規則では、飲食等に参加した得意先などの氏名を記載した書類の

保存が要件とされており、参加者の氏名が不明をいうことであれば、当該要件を満

たしていないことになる。

②参加者の人数が不明なもの

 本件除外要件の一人5000円以下かどうかの判定が不能であり、基本的要件を

満たしていないことになる。

③社内懇親会の費用

 本件除外規定を満たす飲食費は、具体的に「飲食その他これに類する行為のた

めに要する費用」をいうが、もっぱらその法人の役員、従業員またはこれらの親族

に対する接待費等のために支出する費用、すなわち社内飲食費は除かれることと

されている。

 したがって、得意先や仕入れ先などの事業関係者が含まれていない飲食につい

ては、一人5000円以下の場合であっても支出交際費から除外することはできない

こととなる。

④お中元やお歳暮の費用

 お中元やお歳暮などの費用は、「贈答等」の費用に当たり「飲食その他これに類

する行為のために要する費用」には該当しないため、1件当たり5000円以下のもの

でも、除外される交際費等には当たらないことになる。